衆議院議員 工 藤 巌

 私の心から敬愛してやまない長沢等さんが、下米内地区の地名や史跡の由来、伝説などを「下米内物語」として冊子にまとめられたのは、およそ五年前のことである。私は、長沢さんがこんなすばらしい記録を残して下さったことに深い感動を覚えながら、地図と照合しながら誠に興味深く読ませていただいたのであった。

 このたび、大方の強い要望に応えて、再び下米内物語を出版されることになった。誠に慶賀に耐えない。

 著者、長沢等さんは、周知のとおり、二十年にわたり下米内町内会長として広く人望を集め、私も市長時代から公私にわたりお世話になった方である。その豊かなお人柄と下米内への深い愛情がこの書物を生み出したのであろう。

 「中津川や月に河鹿の鳴く夜なり」と歌われた河鹿も蛍も岸辺の忘れな草も、いつしか過去のものになろうとしている。鮭が遡上し、せきれいの遊び、白鳥の飛来するこの川の風物詩を往年のものに取り戻したい。長沢さんはそんな想いを込めて本書を書き綴られたのであろう。

 古老の話を集め、調査の努力を重ねられ、後世に残るこの著書を出版される長沢等さん並びに町内会役員の方々のご盡力に深く敬意を表するとともに、同じ盛岡をふるさととし、下米内界隈をいささか知る者として、本書の刊行を心からの喜びとするものである。

2023年1月20日

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