山林開発問題(馬場野地内の砕石所設置に反対の取り組み)

山林開発問題(馬場野地内の砕石所設置に反対の取り組み)

 渡辺建設は平成13年(2001)から馬場野地内の自社および子会社の所有する山林(東北電力米内発電所下流対岸の山林)で作業用路の造成と樹木の伐採を行うなど開発を始めた。

 この開発工事は関係法令を無視して行われたため、平成15年(2003)に林地開発違反によって現状回復命令が出され、同社は回復計画書を作成し工事に取り掛かって、平成18年(2006)になって、ようやく復旧工事は完了した。

 その後、渡辺建設は洪惠建設と名称を変え、平成19年(2007)4月から進入路設置工事を始めた。渡辺建設はこの場所で砕石事業を目論んでいながら、「既存の道路は急傾斜なので新たに道路を造って近隣住民の利便を図るものだ」と官庁へは説明している。

 今回もまた、周辺住民へ工事の概要(目的、作業方法や工期など)の説明がなされないまま工事が始められた。

 この場所は急傾斜地であるばかりでなく、県道上米内・湯沢線に面しており、道路の反対側は米内川で、実に狭隘な地形となっている箇所である。工事は落石防止や土砂流出対策もなされず、しかも周辺住民は建設用重機による岩盤の掘削騒音の被害にさらされた。

 また、工事の進行につれ、工事の目的も「公園を造るため」とか「フクロウの営巣場所を保護するため」などと、その場しのぎのことを言って周辺住民を惑わかしたり、嫌がらせの言動などによって不安を掻き立てるに至った。

 もとより、町内会では伊勢ノ沢、馬場野、一本松地区の交通安全を図るために、この地区の県道の拡幅および歩道の設置を地域要望として取り組んで来ただけに、この場所に砕石所の設置などは到底容認できるものではなく、したがって、周辺住民の安全確保、県道の安全確保、土砂災害防止および浄水用水質保全の立場で、砕石所設置反対を明確にした。

 洪惠建設はこの年の7月に県盛岡保健所環境課へ砕石所設置申請書(案)を持参して指導を要請している 。

 これに対して、町内会は山岸地区町内会連合会と連携して地域要望を行いながら、盛岡市議会に対して砕石所立地反対の請願を行い、岩手県および盛岡市の関係部署へも関係法令の厳正な適用を要請して立地反対を明確にした。これに呼応して、岩手県および盛岡市の関係部署でも連絡会議を行って、工事現場のパトロールを行うなど対応が強化された。

 こうして、洪惠建設は採石場設置計画を断念し、岩手県に提出していた申請書(案)を取り下げ、かつ現地事務所を解体撤去して、砕石所設置問題は終結する運びとなった。

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